ある夜、三成邸の一室で眠っていたはつの元に、藤堂家に仕えている忍から伝令が入った。至急戻ってくるようにとの事だった。こんな夜中に呼び出すくらい緊急事なのだろうかと考えながら、はつは布団から体を起こし出ていった。
「高虎さま……、お呼びですか?」
正直いって、はつは高虎が苦手だった。
あの鋭い目で見つめられると、心の底まで見通してしまいそうで怖かったのだ。
仇敵である石田三成に情を移している事が発覚すれば、はつの命はないだろう。誰が、何のために殺したかということさえ隠してしまう。世間から『はつ』という人物を抹殺されてしまうのだ。想像するだけで、恐怖で身震いがする。
高虎はそんなはつの気持ちを知らずに、普段と変わらない目で見つめてきた。
「……来たのか」
「? お呼びになったのは高虎さまですから」
どことなく高虎の受け答えが上の空だった。そのため、はつの緊張も和らいだ。
「何かご用でしょうか?」
「用……ってほどでもねぇけど。ただ……」
「ただ?」
「お前が恋しくなった」
その言葉と同時に、はつは高虎の体に引き寄せられるようにして抱きしめられた。
突然の事に、拒絶する言葉すら発せられない状態だった。
「た、高虎……っ、さまっ!」
何度か高虎に触れられた事はあったが、どの時も恐ろしい程に殺気が伝わった。それがはつに向けられているのか、敵に対してなのか判らないのだが……。
だが今は殺気ではなく、どこか寂しいものを感じられる。
「どうなさったのですか……?」
「ときどき不安になる。はつが俺を裏切って、どこかへ行ったりするんじゃないかって」
その言葉にはっとする。はつは高虎の背中を撫でながら話した。
「私は任務を受けている以上、決してあなたの傍から離れません」
「俺がその任務を捨てて、自由になってもいいって言われてもか?」
「それは……」
はつは言葉に詰まった。もしそれが許されるのならば、この血生臭い世界から逃げてしまいたかったからだ。だが、今、その事を肯定すべき雰囲気ではない。
深い暗闇の中、一本のろうそくの明かりから伺える高虎の表情は、今にも消えてしまいそうな程弱々しいものだった。普段のようにひょうひょうとした彼ではなく、闇と同化してしまいそうな虚ろな目だった。
何があったか聞くべきだろうか?
恐らく聞いても高虎の事だ、上手くはぐらかすだろう。そのことが離れず、はつは聞けなかった。
「あの、それでも私は、高虎さまから離れません。だって、今のあなたは……――」
背中に回していた手を、高虎の頬に置き、撫でる。ほんのりと熱を帯びていた。
「こんなにも儚くて、寂しいのですから……」
「はつ……」
「私は折れてしまいそうな主を残して、どこか一人行く事なんて出来ません」
「はつ……っ!」
刹那、言葉の続きを喋ろうとしたはつの唇が塞がれた。
体を引き離そうとしたが、男の力には敵わずきつく抱きしめられた。そのうち口内に高虎の舌が侵入し、激しくはつの舌を攻めたてた。離れようとすればするほど追いかけてきて、執拗に舌と舌が絡み合い、音がくちゃくちゃと部屋に響く。
「……っふ……ぅ」
頭の中がぼうっとなり、酸欠で目の前が霞んで見えてきたところで、ようやく解放された。
「たか……とら…さ……」
「はつから挑発してきたんだ……。責任とってもらうぜ」
そう言うと高虎は、はつの忍服の隙間から手を忍ばせ豊満な胸を揉み、彼女の胸元を覆っていた布を脱がし始めた。
「い、いや……っ」
抵抗して高虎の肩や胸を叩くものの、あっさりと払いのけられてしまう。その間にも彼の手の動きは止む事なく、口を乳首の方まで持っていき舐め始めた。
ひんやりとした外気と舌の生暖かい感触に、はつは鳥肌を立てた。
「何? 感じてんの、はつ」
にやりと意地悪く微笑むと、先程よりも強く乳首吸う。
弄り始めた時は程よい弾力を持っていた先は、今では主張するように勃ち、硬くなっている。双丘の先が敏感になっている為か、高虎がきつめに引っ張り上げたり吸い上げたりする度に、はつの身体がびくんと跳ね上がった。
「やっ、やめて下さい……っ、高虎さま…ぁ」
「こんなになってんのに、『止めて下さい』ってか? 笑わせてくれるぜ」
「ひっ! ……っああ……っ! やあ…っ」
「はつってさ、エロい身体してるよなぁ。何人この身体で誘って殺(や)ってんだ?」
「ちっ、ちが……っ、やって…ない……っ、んあ……あっ!」
高虎の手は胸から下へ降ろされていき、おへその下にある茂みへと辿り着いた。
するとはつは高虎の手首を掴み、その先に進まないように必死に引っ張り上げようとした。
「ダメです……っ! ここから下はっ……」
「なんでダメなんだよ」
そのままはつを壁に押しつけ、鋭い目つきで睨み付ける。
「俺は……、誰かにお前を奪われるのが嫌なんだよ」
「っ!」
互いの唇を合わせ、舌を深く割り込ませていく。はつは抵抗する力を失い、握っていた高虎の手首を離した。
高虎は「いい子だ」と耳元で呟き、下腹部の茂みに手を進めた。
すでにそこは湿り気があり、秘部に指を這わせるとぬるっとした感覚がある。
「そんなに乳首攻めが気持ちよかったのか? もう湿ってるぞ」
「や……っ、言わないで、下さい……っ」
「意地張らなくてもいいんだぜ……? 素直になっちまえよ、はつ」
愛液で濡れた秘部に指を押し入れる。体内に異物が入り込んだ事により、はつは押し殺した声で声を上げた。ぐるぐると這いずり回る高虎の指に不快感を覚えたが、次第にそれは快感へと変わっていった。
「やあっ!! ああっ……!」
「狭いな。なら、じっくりとほぐしてやらねぇとな……」
膣(なか)に入り込んだ高虎の指先は、はつの敏感な部分に触れていく。それは先程胸の突起を攻めていた時とは違う、別の痺れがあった。膣内から伝わる刺激は身体と思考を支配し、はつに正常な判断を付けにくくさせた。
彼女自身でも判るほど、秘部は潤沢になっていくのを感じる。本心とは裏腹に、身体が、膣(なか)が、高虎を求めていた。その現れかも知れない、はつの腰は自然と上下に動いていた。
「やっとその気になってきたか。いいぜ、俺ももう限界だ」
そう言って、袴のひもをスルリと取ると、既に硬くなり己を主張している一物が露わになった。
大きくなった一物を目の前にし、はつは恥ずかしさのあまり目を背ける。
「ちゃんと見ろよ」
無理やり高虎に視線を戻され、いきり立った高虎自身を凝視させられた。
「ん……? また濡れてきたな。俺のこれを見て興奮したのか? ん?」
「ちが……っ、…あん……っ」
「じゃあ何でこんなに濡れてんだ?」
「そ、それは……、ぁん……っ」
実際、高虎の一物を見て興奮したのは事実だった。それに加えて、先程から続けられている膣への愛撫。もはやはつの理性も限界だった。乱れればどれだけ楽かと何度も考えたが、意地がそれを許さなかった。
「へっ、まあいい」
はつの太股に一物を押し当て、更に激しく指を出し入れし始める。一本だった指は二本、三本となり、はつの秘部を埋めていく。巧みな指の動きに、ついにはつは絶頂を迎え果ててしまった。
「ああああーーっ!!」
絶頂に達した膣(なか)からは愛液が留めなく流れ、高虎の手を汚していく。
「おーおー……。こんなに汚しちゃってまあ。淫乱な女だ」
「…………」
低い声で笑う高虎に対し、はつは何も言い返す事は出来ず、ただ苦しそうに肩で息をするだけだった。達したはずなのに、秘部は未だに求めている。それは太股で更に大きくなりつつある、この肉棒を求めているのだろうか……?
ふいにはつは肉棒を手に取った。
「はつ?」
「また……大きくなったのですね……」
「……。そりゃあな。目の前で乱れている女を見て、興奮しねぇ野郎なんていねぇよ」
ぴくん、と肉棒が脈を打つ。先走り汁が出ているのか、竿の裏側が濡れていた。
「挿れたい……。はつのなかに挿れたい」
「高虎さま……」
承諾の代わりに口づけを交わす。再度舌と唾液が、卑猥な音を立てて絡み合う。
はつの身体を壁に押しつけ、そのまま片足を大きく開けた。空いている手で膣を開くと、透明な糸が何本もひきながらその奥が露わになった。赤く充血し、ひくひくと小刻みに動いている。その上についている小さな突起は、密かに主張するように勃っていた。
「そういや、ここをまだ触ってなかったな」
そういって高虎は勃った花心を指先で、こねるようにして押し弄(いじ)った。
「んああっ!!」
はつの身体は大きく反応し、背中を仰け反らせる。ひくん、と膣が脈打ち、再び愛液を吹かせた。
気をよくした高虎は、愛液を指に塗り花心を弄った。今度はぬるぬるとした感覚が心地よくなり、はつは自分でも驚くくらい、何度も高虎の名を呼び喘いだ。
「高虎さまぁ……っ! もう……っ、だめぇ!」
「一人でイくなんてさせねぇぜ……っ!」
先走り汁で濡れた肉棒を膣の入り口まで持っていくと、勿体ぶるように当てたり出したりを繰り返した。
「あ……っ、あっ……」
「言ってみろよ。これをどうして欲しいんだ? はつ」
「挿入(いれ)て下さいっ……! 私のここに、高虎さまのモノで埋めて下さい……っ!」
「上出来だ…っ!」
高虎は肥大化した己の分身を、一気にはつの膣に挿入した。
指を挿れ始めた頃より大分ほぐれており、難なく奥へ奥へ押し進む事が出来た。
はつは熱く硬い高虎のモノに酔いしれて喘ぐ。
「ああ……いいぞ、はつ……。程よいキツさだ」
「もっと……高虎さまを感じたい……っ」
「……その言葉、後悔すんなよ」
高虎はもう一方の脚を上げ、大きく腰を振り始めた。結合部分にまとわりついている互いの体液が、打ち付ける水音となって部屋に響く。
一度動き出してしまったものを止める事は皆無で、高虎は本能のままに腰を振り続ける。はつも彼の行為を受け入れるかのように、腰を浮かせて快楽に浸っていた。たまに自ら腰を振って、高虎の肉棒を更に奥へと当てさせる。
「はつ……っ!」
動きは小刻みかつ早くなり、はつの胸についている白い双丘が激しく揺れ動く。その先についている突起を、高虎は唇で吸い上げたり舐め回したりすると、喘ぎ声は大きくなった。
「高虎さまっ、高虎さまぁっ!」
「はつ……っ、もう、イくぞ……っ!」
「んあああーーっ!!」
「っく!」
奥まで突き入れるのと同時に、どくんと肉棒が脈打ち、男の欲望を放出させた。入りきらなかった白い精は膣から溢れ出て、床へと滴れ落ちる。二人は揃って荒い息をはいた。
「すまない……、あまり優しくしてやれなかった……」
行為が終わった後、視線を合わせずに高虎が言った。空はもう白くなっており、あと数刻で夜が明けようとしていた。
はつはクスリと微笑み、優しい声で答えた。
「いいえ。高虎さまの寂しさが満たされたのなら、それでいいです」
「……ありがとう、な」
「それでは私はこれで……」
「ああ」
支度を終えると、はつは再び石田三成の邸へと戻っていった。
はつが去った部屋で、高虎は小さく呟く。
「はつ。お前が三成(あいつ)にとられるのが嫌なんだよ……」
彼女が三成に好意を寄せているの事は知っていた。だから無理やりにでもはつを自分の物にしたかった。しかし、それで良かったのかという疑問が、今の高虎を蝕んでいる。
「はつ、好きだ……」
彼の独白だけが響くだけだった。
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09/01/30
あとがき:
ずっと書きたいと思っていた虎はつ成人指定SSです。思ったよりも長くなりました。
高虎のドSさと、はつのエロスを表現出来ていたらなと思います!