いくら幼いロマーノだって、この関係が永遠でないことくらい知っていた、だって別にそんなの望んでなかったし。
確かに、ロマーノの支配権をもっていたのはスペインで、だからロマーノはスペインの元で暮らせていたわけだけれど、これだって突然で、ロマーノの意志なんておかまいなしで決まったこと。ロマーノという存在を支配し管理していくのはロマーノ自身であるはずなのにそれが許されない。大人はあまりにも身勝手だ。

「ロマーノ、なんで泣いとるん?折角家に帰れるんやから、もっと笑っとき?」

そう、本当に身勝手だ。望もうと望まざると関係ない。知っていたのに、知っていたのに。

「ばっ、泣いてなんかねぇよ!」
「それのどこが泣いとらんて?ほら、お前は本当、手ぇかかる子やなぁ」

スペインの手が伸びてきて、ロマーノの髪をふわりと撫でた。その大きな手のひらの温度に刹那、涙がとまるくらいの幸せを感じて、しかしすぐにじわりと涙が吹き出すように零れてきた。乱暴にスペインの手を振り払う。
スペインの顔を見ることが出来なかった。見たらきっと泣いてしまう。スペインはずるい。卑怯だ。もう今までのように笑って会えないことを知っているくせに、最後までこんなに優しいなんて。最後くらい突き放してくれればいいのに。だってロマーノは何もできなかった。スペインのお荷物だったに決まってる。掃除だってまともにできないのだ。ようやく厄介払いが出来たとかそんなカンジで思ってくれればいいのに。

「………元気でな。また、遊びに来ぃや。待っとるからな」

そんな寂しそうに哀しそうにそんなことを言わないで。ぼろぼろとロマーノは泣きじゃくる。そんなロマーノを抱きしめてあやしてあげられないのは、スペインもよくわかっているから。
偶然ともいえるように重なった運命は、此処でおそらく永遠に決別する。屈折していく時代のなかでもきっとロマーノは自分を忘れてくれるなんて楽な道を進むことは出来ないことを知っていて、最後まで突き放せないスペインは、自分の無力さを嘆く。それなのに身勝手なスペインはロマーノを抱きしめることなんて出来ずにいる。だって、そんなことをしたら、きっともう、離せなくなる。この思いを心の奥そこに沈めておけなくなる。
泣かないで、そんなこと、言えるわけない。どうか、泣いて泣いて、憎んで、嫌いになって。











君 を 抱 き し め る の に 必 要 な く ら い の 残 酷 さ  
 








(2007/07/13)