ぼくは大きなベッドの上、アニキの足の間にはさまれるようにして座らされている。アニキはまだきちんと服をきたままだけれど、ぼくはもう裸にさせられていて、むきだしの肌に秋の夜の空気は少し寒かった。
背もたれにもたれかかるみたいにアニキの胸に体重を預けているぼくの身体に、後ろから抱き締めるみたいにアニキの腕がまわされている。アニキの両の指があるのは当然のようにぼくの足の付け根。体育座りで座っていたぼくの足を大きく開かせて、その中心にアニキの指が入ってきている。
「ふ、ぅう……ん」
 ぼくの唇からははしたない声が漏れている。でもこうやって喘ぐぼくがアニキは好きみたいだから、こらえるなんてことはしないで、単純にアニキの指がくれる快感につきうごかされるまま。
「もうこんなにゆるゆると濡らして」
 ぼくの耳に息を吹きかけるように囁いたアニキの指が、大きくぼくのナカをかきまわして、ぐちゃ…という水音をたてた。そうやってぼくの羞恥心をくすぐっているんだとはわかっていてもそれに反応してしまう。
「はぁ……っ………」
 夜の空気に冷やされたアニキの指の冷たさが、蜜を垂れ流して発熱しているなかで輪郭をはっきりさせている。その冷たい指先がぼくのナカの温度で次第に温かくなっていっているのが感じられる。
「あ、にき……もっ、もっと……!」
 入口だけを触られているのがもどかしくて、ぼくはそうやってアニキにねだった。するとアニキは片方の手をぼくのナカから抜いて、蜜でてらてらぬめっているその指をぼくの唇にもってきた。アニキの指を汚したぼく自身の液体が、ぼくの唇を濡らす。
「もっと、なんですか? きちんと言わないとわかりませんよ」
 アニキはそうやってぼくを焦らそうとしたけれど、ぼくはもう羞恥心もふっとんでいたから、あからさまなおねだりが平気で口をついた。
「もっと奥まで、っ……入ってきて……ぇ」
 ぼくがすぐに直接ねだるのがわかっていたかのようにアニキは笑って、それからぼくの唇においていた指を口の中にいれてきた。ぼくは口をあけて、歯列をなぞってさらに奥に入ってくるアニキの指先を舌で舐めた。
「イイ子だ。――腰を少し浮かせてごらんなさい」
 うん、とぼくは微かに頷いて、アニキの言葉どおり、腕に力をいれて腰を浮かせた。その瞬間、ぼくの入口付近でくすぶっていたアニキの指が奥の方まで入り込んできた。アニキの指に内壁をこすられて、びっくりしたぼくは腕から力が抜けてしまって、そのまますとんと腰を落としてしまった。だけれど既に奥まで入っていたアニキの指はそのままぼくの中心を貫き続けて、逆に重力が加わって狭くなったぼくのナカは、アニキが入り込んできたときよりももっと強烈にアニキの指を感じることができた。
「ああっん……!」
 狭いナカで、アニキは指の第二関節を曲げたり戻したりして確実にぼくのイイところを狙って刺激してくる。たぶんアニキはぼく以上にぼくの身体のイイところを知っているんじゃないかと思うくらいにアニキの指は的確で、たまらくなったぼくの視界は真っ白になる。
「あ……ッ!」
 ぱちん、と何かがぼくのなかではじけて呼吸が一瞬とまり、ぼくの身体全体がぼくの意思と無関係に強張って、ぎゅうっとアニキの指をしめつけた。
 次にぼくが呼吸をとりもどした瞬間、摂取した酸素に和らげられたかのようにぼくの身体の緊張がほぐれていく。同時に、ぼくの中心に溜まっていた蜜壺の蓋もゆるんで、ぼくのソコからはだらしなく蜜が流れ出す。
「誰が勝手にイっていいと言いましたか」
責めるようにアニキが言う。肩で息をしながらぼくは頷いた。
 達したばかりのぼくの身体は敏感で、アニキがただ指をひきぬいただけで、そこで生み出される刺激に過敏に震えた。
 アニキの指はぼくが吐き出した蜜でどろどろだった。アニキはそれがぼくの視界にはいるように持ちあげる。ぼくの蜜がアニキの指先から滴り落ちてシーツに染みをつくった。
「ごめんなさ……っ……」荒い息のまま、ぼくはこたえる。「だって、あにき、のっ、……ゆび、気持ちよすぎ……」
 ぼくの答えはアニキを満足させたようで、アニキはぼくの首筋にやさしく唇を落としてくれた。
「まったく、しょうがない子ですね」
 アニキの薄い唇は熱くて、だけれどその唇を割って出てきてぼくの皮膚を舐めたアニキの舌はもっと熱かった。まるで舌の中で血液が沸騰しているみたいだった。
「あにき、も、コーフンしてるでしょ」
 ぼくはわらって、さらにぴったりとアニキに身体を寄せる。背中越しに、ズボンをおしあげてアニキ自身が存在を主張している感覚があった。ぼくがイったことでアニキが感じてくれているという事実が、またぼくの蜜壺をゆるくする。
「おまえがはしたないからですよ」
「じゃあ、はしたなくてよかった」
 ぼくがそう言うとアニキは嘆息した。その息はぼくの首筋をさわさわと撫ぜて、少しくすぐったかった。
「口だけは達者になって」
 呆れたように笑ったアニキの両手がぼくの胸に伸びてくる。
「――此処も、ですけど」
アニキの手が乱暴にぼくの胸をわしづかんだ。
「んあっ!」
 普通なら痛いだけだろうけれど、イかされたばかりのぼくの身体は痛みと同じくらいに快感を覚えた。
 ぼくの胸はそんなに小さくはないけれど、アニキの大きな手のひらはぼくの胸を全部包み込んでしまっていた。そうして手の中で形を変えられるほど揉みしだかれる。
「やっ、こわれちゃ……っ」
 壊されるくらい乱暴にされるのは気持ちよかった。これは絶対にアニキのせい。アニキ、最初のうちは強くても乱暴なほどではないけれど、興奮してくると自分でコントロールできなくなってくるらしく、もう本当に乱暴。もっとも、これがアニキだけのことなのかそれとも皆そうなのかは、アニキの身体しかしらないぼくにはわからない。
「アニキっ、…あっ、ああっ……!」
 いっそアニキに全部壊されちゃいたい、とも思う。だってそしたらきっとアニキは一生ぼくのことを考えて生きてくれるだろうから。
「アニキぃ……も、好き……ぃ」
 うわごとのようにつぶやいたぼくの言葉に、わたしもですよ、とアニキが言葉を返してくれた。その低くかすれた声で囁かれた睦言がぼくの鼓膜を揺らした瞬間、ぼくの中心からどろりと蜜があふれたのがわかった。
 



マイシスター

(2008.11.23.)