切欠

 始まりは偶然だったのか、必然だったのか……俺にはいまだに判断がつかない。
 それでも、そのキッカケだけは、今でもはっきりと憶えている。



 五年生の夏。夏休みも間近に迫った7月中旬のある日。
 その日、遅刻寸前で慌てて登校した俺は、朝食どころか水分すら口にしていなかった。間の悪いことにその日はドリルの提出期限で、休み時間は友達の答えを写すことに費やしてしまい……気がつけば暑い教室内で喉の渇きを堪えながら授業を受ける羽目になっていた。
 しかも、その日の四時間目は体育。馬鹿みたいに晴れ上がった炎天下、サッカーの授業だった。体を動かすことが嫌いじゃない俺だったから、喉の渇きも朝食抜きも忘れて動き回って、結果、倒れた。あれ、と思った時にはもう視界は真っ暗で、無様に意識を失ってグラウンドに突っ伏した俺に驚いた友達の声や先生の声が遠く聞こえて、やがて何も分からなくなった。

 そのとき俺は、血の気の抜ける感覚が何故だか妙に心地良いと思ってしまったのだ。
 ……それが良くなかったのだろうか。
 夢の内容は覚えていない。と言うよりそもそも内容なんかなかったのかもしれない。
 暗い闇の中に溶け込むような光が渦を巻き、時に明滅して俺の体を包んで、そして高い高い所まで引き上げていくような、そんな感覚だった。
それは、確かな快感だったように思う。

 次に気がついたのはベッドの上だった。
ところどころシミのついた天井と、視界に揺れるカーテン。場所を確認しようとして軽く頭を振り、徐々に覚めていく意識の中で、俺はあることに気付く。
 股間に纏わりつく湿った感触。
 寝小便かと恐る恐る布団の中の手を股間へと伸ばし、短パンと下着のゴムを掻い潜って確かめるように触れれば、予想に反して生暖かいぬるぬるとした液体が俺の股間を汚していた。ベッドに預けたままの背中が一気に嫌な汗を噴出する。血の気の引いた顔でそれでも勇気を振り絞って上体を起こし、ゴムを引いて問題の場所を外気に晒してそこに視線を向ける。
 白く濁ったぬるつく液体が、いまだ淡い陰毛に絡んで光っているのを目の当たりにして、俺は叫びだしそうになるのを必死で堪えた。噛み締めた唇は深く食い込んで、肩はがたがたと震える。未知の体験に頭の中は完全に真っ白だった。以前に保健体育の授業で受けたはずの性教育も殆ど夢の中だった俺だから、情けないことにこの状況に対処する知識がなかった。
 しかも、ここは明らかに自室ではない。使い込まれたパイプベッドに、生活感のない白い寝具。時折遠く聞こえる子供の声は、耳に馴染んだ学校のもの。
 ……どうしよう。
 頭の中でその言葉を何度も繰り返す。
 どうにか誤魔化して教室に帰れば、ジーンズに着替えることができる。下着はこの際諦めるしかないだろうが、傍目に分かるわけではない。小用の時には多少気遣いが必要だろうが、下着を履いていない事を隠し通すのは無理ではないはずだった。
 しかし、見る見る布地に染み込んでいくこの液体は、確実に短パンの布地の色を濃くしていく。体操着の裾を精一杯引いたところで隠せるようなものではないだろう。もし万が一誰かに見咎められるような事にでもなれば……それは想像するにも恐ろしかった。
「あ、坂口君、気がついたかな?」
 ぐるぐると回り続ける思考を、突如壊した聞き慣れた呑気な声。
 軽やかな音をさせてカーテンで仕切られた空間に入ってきたのは、見慣れた保健室の先生だった。歳は30手前ぐらいだと聞いたが、もう少し幼くすら見えるその優しい顔には、色素の薄い長めの前髪が影を落としている。俺はいつも無茶をして傷を作っては、ここに駆け込んできたいわば常連だった。怪我の治療も勿論だが、寄せられる生徒の質問や悩みに答えるのも先生の仕事で、時に冗談めかし、時に真剣な面持ちで生徒に語りかけてくる先生が、俺はとても好きだった。それなのに、先生にこんな場面を見られてしまうなんて。
 俺は今度こそ完全に思考が停止して、外気に晒した股間もそのままに体を硬直させ、ひどく情けない血の気の完全に引いた顔で、今にも泣き出しそうな視線だけを先生に向けた。
 何も言えなかった。
 先生がまず俺の顔を見て表情を曇らせ、ついで俺の手元を覗き込んでから、今度は照れたような困ったような複雑な表情を浮かべて俺の顔に視線を戻した。
「あー、えっと。……着替えはあるかい?」
 俺は一呼吸置いてその言葉を理解して、ぶんぶんと首を横に振った。
「じゃあ、お家に電話して持ってきてもらおうか?そのままじゃ気持ち悪いだろう?」
「……や!か、かぁちゃんには!」
 絞り出すような声でそれだけ言うと、先生は眉根を寄せて首を傾げて見せた。
「お母さんに知られるのが恥ずかしい?別に叱られたりはしないよ?」
「で、でも俺、こんな……!しょんべんじゃないし、だって!」
「あぁ、うん、そうだね。でもそれは自然なことなんだよ?保健体育で習ったろう?」
 先生は表情を柔らかくして、幼子をあやす様な口調でゆっくりと言った。
 俺はぶんぶんと首を振る。
「おやぁ、坂口君は真面目に授業を受けてないんだねぇ。それはちょっと感心しないけど……まぁ、そんな時じゃないねぇ、今は」
先生は一人納得したように頷いて、ゆっくりと俺に背を向けた。
「あ……」
「大丈夫、ちょっと待っていなさい」
 優しい声で言い置いて、先生はカーテンの向うに消えた。
ごそごそと何かを探るような気配の後、ビニールの擦れる音を立てながら再び先生がカーテンの中に入ってきて、手にしていた包みを俺の膝の上に置いた。見れば、真新しい下着と、やや履き古した感じのする学校指定の短パン、それとポケットティッシュだった。
「はい、これ。トランクスは僕用のだからちょっと大きいかもしれないけど、未使用だから心配しないでいいよ。短パンは悪いけど卒業した生徒のものしかないんで我慢してね。ちゃんと拭って綺麗にしてから履くんだよ?」
 俺は言葉もなく渡された品物と先生の顔を交互に見た。
「……じゃあ、先生出てるから、終わったら言いなさい」
にっこりと、安心させるように微笑んで、先生が再びカーテンの向うに消えた。
 暫し、俺は動くことができなかった。
 気配を探るように耳を澄ませば、仕事を始めたのかページを捲る音と時折シャープペンの芯を押し出す音しか聞こえない。俺は意を決して布団から這い出し、ベッドから降りた。リノリウムの床が必要以上に冷たく感じられて、崩れそうになる膝を必死で支えながら、黙々と作業を始める。
 濡れた下着と短パンを静かに引きおろし、股間を抜き出したペーパーで拭った。羞恥に頬が熱くなるのを感じながら、震える手でパッケージを開け、真新しい下着を取り出すと片足ずつ通して腰まで引き上げた。心許なかった股間が下着に隠されると、漸く安堵の息が漏れる。今度は躊躇いもなく知らない誰かの残した短パンを身につけて、そうして床に落としたままの俺の下着と短パンを隠すように小さく丸めた。
 しかし、このまま持っていくわけにもいかない。困っていると、カーテンの向うから見計らったように声が掛かった。
「終わったかい?」
「は、はい!や、えっと、まだ……」
 丸めた布地の扱いに困惑しつつ答えれば、再び先生が声をかけてくる。
「汚れ物はベッドの下に置いておきなさい、午後の授業の間に僕が洗っておくから。といってもコインランドリーだけどね」
 冗談めかし言うその声に救われた思いで、俺は丸めた衣服をベッドの下に隠すように置いた。
「坂口君?終わったなら少し話がしたいんだけど、いいかな?」
「は、はいっ!」
 緊張のためか、声がひっくり返ってしまったが、先生は笑わなかった。静かにカーテンを引き、体を入れてから再び引いて空間を閉じると、ベッド脇のパイプ椅子に腰を下ろした。
「君も座りなさい、ベッドの上でいいから」
 促すようにぽんぽんと寝具を叩かれて、俺はおそるおそる腰を下ろした。
「えーっとね、いい機会だし、君は保健体育をまじめに受けていないようなので、ここでちょっと授業といきたいんだけどね」
 先生は足を組み、その上に軽く握った手を置いて姿勢を正した。俺もつられて背筋を伸ばす。
「いいかな?君の下着が汚れたのは、君も分かっているようにおねしょじゃないんだ。この現象は、夢精と言ってね。精通のある男子ならごく普通に起こりえることなんだ。君は……その、精通はまだなのかい?」
「せいつう、って……?」
「……これに懲りたら授業は真面目に受けるんだよ。生きるために必要なことを教えているのだからね」
 先生は呆れたような困ったような顔をして一つ溜息をついた。
「精通というのはつまり、男性の体が……」
 先生は身振り手振りで俺に男性器の仕組みを教えてくれた。だが、どうしても現実味のない専門用語の羅列を理解できず、俺はただただ呆然と耳を傾けるだけだった。
「……と、言うわけで、ごく普通のことなんだ、何も問題ないんだよ」
「……俺、病気じゃないの?」
 不安を隠しもしない俺の質問に、先生は天を仰ぐ。
「だからね………ちゃんと僕の話聞いてたのかなぁ。病気じゃないんだよ、本当に」
「……でも!」
 言い募る俺の表情があまりに必死だったからだろうか、先生はがっくりと肩を落とし諦めたように深い息を吐いた。
「……ショックだろうね、君の場合特に。そういうことには疎そうだものねぇ。……まぁここまでとは予想外だったけど……」
 独り言のように呟いて、先生はベッド脇のテーブルの鍵の掛かった引き出しに手を伸ばし、ポケットから取り出した小さな鍵でそこを開けた。ガラガラと金属の音とともに引き出されたそこには、沢山の茶封筒が積まれている。先生はごそごそとそれを探り、中から厚手の一袋を取り出した。日付と名前の書かれた面はチラッとしか見えなかったから、俺には読むことができなかったが、先生は軽く中を覗き込んで確認すると一旦その袋をベッドの上に置いて腰を上げた。
「ちょっと待っていなさい」
 言って、カーテンを引いて外へ出る先生の背を怪訝そうに見送る俺の耳に、ドアの開く音と何か軽い音、そして再びしまる音と……さっきも聞いた鍵の掛かる音が届いた。再び戻ってきた先生の顔は困惑そのものだったけど、俺の顔も負けないくらい困惑していたと思う。
「えーっとだね、これは生徒から没収したものなんだけど……」
 言い置いて、先生はがさがさと袋の中から派手な色彩の雑誌を取り出した。それはグラビアが主な成人雑誌だった。中身を見たことはないが、似たような表紙は何度も目にしていた。恐怖よりも好奇心が勝って、俺は本を開く先生の手元を覗き込んだ。
 途端に飛び込んでくる肌色の洪水。淫猥なポーズをとった女性の姿がこれでもかとばかりに強調されたそのグラビアを、先生は俺に見せてくれた。
「こういうものが手っ取り早いと思うんだけど……つまりだね、女性の裸を見ると男性は興奮して性器が反応するんだね。そうして性器に刺激を加えることでさっき君の下着を濡らした液体、精液が出るんだ。これが睡眠中に無意識に起こってしまうのがさっきの君と同じ夢精だね。でもそれは子供を作るために必要な現象なんだよ?そして必要だからこそ常に精液は作られて睾丸の中に溜められていく。溜まりすぎた精液は再度体に吸収されたり、さっきの君のように夢精が起こって排出されたりすることがあるんだ。ごく自然なことなんだよ?」
 説明しながら、先生はページを捲っていく。俺は次々と現れる魅惑的な女性たちの姿に、好奇心丸出しの視線を向ける。
と、先生が小さく咳払いをした。
「どうだい?反応してきたかい?」
 言われて思わず自分の股間を押さえる、が、特に変化はなかった。その時はただ物珍しさだけで、淫靡な姿態を晒す女性の姿と己の欲が直結しなかったからだったかもしれない。
 申し訳なさそうに首を振る俺に、先生はいよいよ困ったように視線を泳がせた。
「困ったなぁ、実地でやるのが一番手っ取り早いと思ったんだけど……」
「先生は?」
「え?」
「反応するのが普通なんでしょ?先生は反応してるの?」
 俺は必死だった。さっき目の当たりにした光景を正当化するための証拠が欲しかったのかもしれない。
「え、えーっと……うーん……まぁ、ねぇ」
 先生はグラビアを横目に歯切れの悪い言葉を返す。
「じゃぁ先生のチンコ刺激したら、俺と同じの出るの?」
「チンコって……まぁそうだけど」
「先生!」
 俺の必死な言葉が伝わったのか、先生は僅かに体を引いた。動揺したのだろう。 「待ちなさい。それは流石にマズイ気がするよ?僕は君がトイレででも自慰をすることができれば納得するだろうとね……」
「自慰?」
「ああいや、だからね……まったく、こんなもの学校に持ち込む子もいれば、君のような子もいるし……この年代は複雑怪奇だなぁ」
 先生は何かに語りかけるように一人天井に向かって呟いた。そうして暫く目を閉じて考え込んで、不意に諦めたように長い息を吐いた。視線を天井から俺に移し、困惑気味に眉根を寄せたまま、それでも先生は言った。
「……分かったよ、僕が実験台になるよ」
「先生!」
「ただし!……気恥ずかしいからあまり見ないで欲しいんだけどね。君はこっちの本を見てなさい。出たらちゃんと見せてあげるから」
 そう早口に言って、もう一冊、今度は薄めの本を取り出すと俺に突きつけた。恐る恐る手にとって開き、紙面に視線を向ける俺を確認してから、先生はそっと自分の股間に手を伸ばした。片手はぱらぱらとページを捲っていたが、やがて一枚の写真を見つけるとそこを大きく開いて閉じないようにした。俺は先生に言われたとおり、好奇心を押し殺して目の前の本だけを見るように努力した。でも内容なんか全然頭に入ってなかった。視線はそのまま耳だけに意識を集中すれば、小さくファスナーを下ろす音と衣擦れの後に、小さな先生の吐息が聞こえた。
 その後は暫し無言だった、お互いに。やがて衣擦れの音が規則的に聞こえ始め、先生の吐息も次第に大きくなっていった。は、は、と短く吐き出される先生の吐息が、その熱さが伝わってくるようで、知らず俺の頬も熱くなる。忙しない呼吸の合間に微かに声が漏れ始めると、俺はもう好奇心の限界だった。
 顔だけは伏せて雑誌に向ける振りをして、横目でちらりと先生の様子を盗み見た。見咎められるかと思ったが、先生はすでにその行為に没頭しているのか薄く目を伏せて忙しない呼吸を繰り返すばかりだった。僅かに開かれた薄い唇が、熱い吐息のためか濡れているのがまず目に焼きついた。ついでうっすらと上気した頬と、意外に長い睫が微かに震えているのが見える。視線を下ろせば、手早く上下する先生の軽く握られた拳の中を潜るように、俺のものとは比べ物にならないほど大きくてお世辞にも綺麗とはいえない雄芯が、充血した亀頭を覗かせてはすぐに手の中に隠れるのを繰り返している。切なげな表情と淫猥な行為のアンバランスさが、何故だか俺の目に焼きついて離れなかった。まるで魅入られたように、俺はその光景を凝視した。
自らが生み出した快感に浸る先生は、いつもの、俺の知っている先生のはずなのに、全然違う人に見える。理解できない衝動に突き動かされるように、俺の下肢に甘い熱が淀む。じわじわと血が集まる感覚は、グラウンドで倒れた時の感覚と妙に似ていた。
「……っふ……」
 やがて、唐突に先生の体が大きく跳ねた。痛みを耐えるようにいっそうきつく寄せられた眉の下の瞼が小刻みに震える。見てるほうが苦しくなるような時間息をつめて、そうして先生はゆっくりと体の力を抜いた。うっとりと薄く開かれた目元は朱を刷いていて、睫の合間から覗く瞳は快楽に濡れて光っていた。その目を見たとき、俺の体に衝撃が走った。
雑誌の中のどの女性よりも、先生を、快楽に濡れるその顔を綺麗だと思う。衝撃ははっきりと形になって俺の股間を押し上げた。俺は先生に反応したのだ。
 先生は俺の視線に気付いてばつが悪そうに眉尻を下げた。それでも、手の中に放ったものを、恥ずかしそうに俺に見せてくれる。先生の手の中で、大量の白濁した精液が照明を返して光っていた。
「えーっと、ほら、ね?僕も君と同じだろう?病気じゃないんだよ、坂口君」
「は、はい」
 俺は一気に顔を赤くして何度も頷いた。先生は満足そうにそんな俺を見て笑い、それから、そそくさとティッシュで濡れた掌を拭った。 と、俺の股間に気がついて、小さく安堵の息を吐く。
「ほらね、君も反応してるだろう?これで君がまったく正常なことが証明されたね。確かめたければトイレで僕がやったようにすれば精液が出てくるし。必要なければ暫く休めば治まるよ」
「……や、いいです。もうちょっと休みます」
 心底安堵した様子の先生に、まさか先生の姿に反応したとは言えなくて、俺はやっとそれだけ口にした。
「そうかい?じゃあ僕はちょっと洗濯ついでに手を洗ってくるけど、君はここにいていいからね?」
 手早く本を片付けて再び仕舞い込んだ引き出しに鍵をかけると、先生は僅かに覚束ない足取りでカーテンの向うに消える。
「あぁ、そうそう、先生流石に恥ずかしいから……このことは秘密だよ?ちょっと無茶な授業になってしまったしね。君のことも内緒でおあいこだしね?」
 カーテン越しに、冗談めかして、それでも念を押すように、分かったね、と付け加えると、開錠する小さな音の後、保健室を出て行った。
途端に崩れる体をベッドに沈めて、俺はきつく目を閉じた。しっかりと瞼に焼きついた先生の狂態が薄闇に浮かんできて、俺の熱はそれからも暫く冷めなかった。



 先生は決してアブノーマルな性癖を持っているわけではない。その後多少の気恥ずかしさはあったものの、先生はそれまでと変わらない優しい態度で俺に接してくれたし、こんなおかしな状況になることもなかった。
 だが、この出来事がキッカケなのは、間違いない事実だ。
 もちろん、ただのキッカケに過ぎなくて、最初から素質はあったのかもしれないが。どちらにしろ、確実にここで俺はボタンを掛け違えてしまったのだと思う。小さな食い違いはやがて大きな違和感になり、そして俺は今の性癖を持つに至るのだ。今となっては、男性にしか反応しない自分を認めているし、変わりたいとも思わない。
 そして、そんな今だからこそ思う、恋というにはあまりに衝撃的なこの記憶は、それでも確かに俺にとっての初恋だったのだと。


坂口省吾。目覚め。