spice!



「ひゃー、濡れた濡れた」
 雪合戦に熱が入りすぎた。それぞれちゃんと防寒対策はしてたけど雪に当たったのだから濡れてないわけがない。
 雪合戦に参加していた短刀たちと私は玄関で服に付いた雪を払っていた。
「これじゃ風邪引いちゃうね――っと、ちょうどよかった。来て来て」
 私はパタパタと廊下を駆ける式神を見つけ手招きした。
「お風呂の準備お願いしていいかな」
 頷いてお風呂場の方角へと走っていった式神を見送ってコートを脱ぐ。バサバサと背中に残る雪玉の残骸を振り落としていると、乱暴に靴下を脱ぎ捨てていた薬研が「そうだ」と顔を上げた。
「大将、先に風呂入っちゃってくれるか」
「僕たちは服の用意をしてますので、主さまはちゃんと温まってきてくださいね」
 振り向いた薬研の言葉を受けて、前田のマントを払ってあげていた平野も声をかけてくる。
「ありがと。んじゃ、先に入らせてもらうけど皆は濡れた髪ちゃんと拭いてね。汗かいてるなら着替える前に体も」
「はーい」
 玄関を上がって着替えを取りに自室へと急ぐ。
 平野は温まるように言ってくれたけど、さすがに皆を待たせるわけにいかないもんね。風邪引いたら……って、刀剣男士って病気になるのかな? 後でこんのすけに確認しないと。
 自室で着替えを用意してお風呂場へ向かい引き戸に手をかける。式神に頼んでおいたからお湯は沸いてるはず。私は少し湿った髪を耳にかけながら戸を開けた。

「おや、大胆だねぇ」
「――――――――――っ!」

「凄い音がしたが……おいっ、どうした!?」
 慌てて閉めた戸に背を向けると足の力が抜けて思わずその場にへたり込む。戸を閉めた音が余程大きかったのか、たまたま近くを通りがかったらしい国広が駆け寄ってきた。私の横でしゃがみ込んだ国広に視線を合わせようと横を向いたところで廊下の角から顔を覗かせた平野の足が見えて顔を上げた。
「主さま?」
「入らないのかい?」
 私の背後に暖かく少し湿った風が流れ、頭上から声が降ってくる。その声に私の体はビクリと跳ねた。
「あぁ、そういうことですか」
「どういうことだ?」
 何が起きたのか察したらしい平野の言葉に国広が問いかける。そして、その問いに答えたのは私の背後にいる青江だった。
「僕の全てを暴かれてしまった……ってところかな」
「タオル! 青江タオル巻いてたし!」
 さすがに全部は見てないし!
 引き戸を開けた先、脱衣所にはお風呂から上がったばかりらしい青江が立っていた。もちろん、腰にタオルを巻いただけの状態で。父親以外だと体育の授業後の同級生とかテレビで見た水泳選手だったり、ドラマの入浴シーンくらいでしか裸なんて見る機会ある訳ないのだから、腰を抜かしたって仕方ないと思う。
「僕の主は随分と初心なんだねぇ」
 そう言う青江の声は随分と楽しそうで。
「見慣れてないんだからしょうがないでしょ!」
 今まで国広以外短刀だったから真剣必殺で半裸とかでも気にならなかった――というより手入れでそれどころじゃなかった――けど、この先打刀とか太刀とかが増えたら見慣れてないとか言い訳にもならないし、どうにかしないといけない。
 そんなことを考えていると、いつの間にか私の傍らで膝をついていた平野が口を開いた。
「主さまが動揺されているときにこういう言い方をするべきではないのは承知してますが、逆じゃなくてよかった、とは思えませんか?」
「逆……? ――――――っ!」
 平野の言葉の意味を理解して、私は思わず言葉を失った。



〜〜〜



「せっかくこうして外を見ながらお風呂入れるんだから――って、何で脱いでるの?」
 布を取りジャージのファスナーを下ろし始めた国広の姿に思わず声を上げる。これはまさか……と考えることを放棄したくなる事態に眩暈がした。
「俺も入る」
「は? ちょっと待って!」
 布をジャージをTシャツをと順番にバサバサと脱ぎ捨てていく国広から逃げるように湯船を背にしながら角へと進む。むしろ自分から退路を断っているような気もしなくはないが、どう考えても一緒にお風呂に入るだけでは済まない雰囲気を何とかするため、私は内風呂との出入り口である引き戸を指さした。
「入るなら内風呂の洗い場で体洗ってきて!」
 今ここで服を脱いでいるということはかけ湯もしていないのだから、先に体を洗わせてその間に上がってしまおう。もう少し雪の積もった庭を眺めていたかったが、こっちは十分に温まってはいるのだから先に出ても何らおかしな所はない。
「馬小屋から戻った時点で済ませてる」
「何でそんな準備がいいの!?」
 私の目論見を打ち砕いて服を脱ぎ終わった国広は湯船の中に入ってきた。スイスイとお湯をかき分け私の直ぐ側まで来た国広は、胸を隠していた私の腕を掴んで引き寄せる。前のめりになり飛び込むように国広の腕の中に収まると、国広は満足そうに私の膝を割り開いて抱きかかえた。
 このままじゃいけない。
 国広の体を挟んで足を投げ出すように胡座の上に乗せられると、国広が腰を押し付けてくる。
「ちょっと! ここ、外だから!」
 いくら結界が張ってあるからとはいえここは外。いつ誰が通るともしれない場所でなんて絶対に嫌だ。
 国広の肩を押して体を離そうともがくとお尻を強く掴まれた。
「庭からは見えないし、音も漏れないから問題ないだろ」
「そういう問題……あっ! 薬研に確認してたのって――んっ!」
 お尻の割れ目に指を滑らせ、国広はその先にある入り口を指でつつく。その刺激に身を捩ると国広は私の頬に手を添え唇を重ねてきた。入り口を国広の指で擦られているとその指の動きが滑らかになってきたことに気付いて、私は鼻を鳴らした。
「ぅんっ! ぅうん、っふぁ……ぅん」
「今日は日が出てるからあんたがよく見えるな」
 国広は私の唇を解放すると、今度は首筋に顔を埋める。跡を残すようにキツく吸い上げながら、国広は割れ目に沿って滑らせるだけだった指を私のナカにねじ込んできた。
「ぃった! や、め……」
 急に指を二本入れられ微かな痛みに私は声を上げる。ナカをかき混ぜ拡げるような動きに、私の体はこの次に迎えるモノを待ち望んで震えた。



to be continued.
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