◆『水滸伝』とは◆

第一回目は、『水滸伝』とは。
水滸伝は中国四大奇書の一つで、歴史創作物語です。
まるで三国志みたいに歴史書(正史)を元に物語(演義)にしていると勘違いされてる節が有りますが、元々は宋史(正史)に記載されていた『宋江を頭とする36人の盗賊』の話し⇒『大宋宣和遺事(元代に書かれた物語)』の16〜18回になり⇒更に民間伝承の肉付けがされて出来上がったと言われる演戯が『水滸伝』です。施耐庵作と言われていますが、それも定かでは有りません。
実際の時代背景や実在の人物の名前も多く出てきますが、正史を元に蜀贔屓な視点から創作された三国志演義とは全く別な、殆どは創作上の人物が織り成す『官軍に逆らう山賊達の痛快戦闘活劇』です。
『西遊記』はすぐ創作と分かるけど、『水滸伝』を本当の歴史と混同してる方がいらっしゃるようなので、念の為。正史を背景に作られた歴史小説ですからね。

大雑把に物語を説明すると、宋の時代・政治に疎くて風雅好きな徽宗皇帝が即位してから、急速に宋国の平和と安定は失われていった。その原因は蹴鞠が得意と言うだけで徽宗皇帝に重用された高キュウを筆頭に、蔡京・童貫・楊センという『四姦』と呼ばれた賊臣がひたすら自分の私利私欲の為に権力を貪っていた為。『官』は『賊』よりも悪だったのです。またこいつらの重税のせいで『賊』にならざるをえなかった人達も数多く居ました。
そんな時代背景の中、梁山泊と言う水塞に集う英雄・豪傑108人の物語+度重なる戦闘を描いた活劇が『水滸伝』です。
官軍に居たのに四姦に陥れられたり、紆余曲折の末に山賊にならざるをえなかったり、自ら山賊になったり、最初は梁山泊の敵方官軍として登場したが仲間になったりと、108人が集う途中経過は様々。
下に書きますが、最初の敵は前述の『四姦』だった筈なのに、途中から話しが逸れていきます。何故かと言えば、天魁星・宋江がひたすら招安(宋国に官軍として招かれる事)を願った結果。
官軍さえも手を出せない一大勢力の山賊だったのに、気が付けば宋国に帰順して四姦にいいように働かされていました。

『水滸伝』には、108人揃った所で終わる70回本。
招安後の遼国攻めまで書いて有る100回本(これが元々の形)。
田虎、王慶戦〜梁山泊の崩壊まで書いてある120回本の3種類が有り、現在中国で『水滸伝』と言えば70回本を指します。
まあ、確かに『四姦』に立ち向かっていく所が面白いので、そいつらがでかい面してのさばってる宋国に招安されてからの戦いなんぞ面白くないだろう。
120回本に至っては、最後の方は仲間がバタバタと死んでいくシーンばかりですしね。

第2回
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