◆108星にならなかった礎◆

解放軍の元のリーダーはオデッサですが、このオデッサは108星に入っていません。

そもそも108星の選定基準は何なのか?
レックナート様やフッケンに言わせると《星の定め》らしいですが、『水滸伝』ではもっと格好良い記述が有ります。
『水滸伝』の序文の部分に、「仁宗皇帝の時代、伏魔之殿の石碑の封印を洪大師が短慮から解いてしまい、無数の金光(=108人の魔王の霊)が空に飛び散っていった」と書かれています。
やがて法符の効力が無くなった時に、108人の魔王がこの世に降りてくる=『水滸伝の108星』という図式の説明です。

さて、話がオデッサから逸れてしまいましたが、元々の解放軍を作ったのがオデッサなら、『水滸伝』で『梁山泊』を作ったのは托塔天王・晁蓋です。晁蓋もまた志半ばに倒れ、108星の中に名前が有りません。
晁蓋は元々、東渓村の村長・庄屋を務める任侠肌の大人物。
ある時、『生辰鋼(梁中書から四姦の一人・蔡京への豪勢な誕生日祝い)』を輸送する一団が通るから、そいつを奪ってしまいましょうと言う話が晁蓋の元にやってくる。晁蓋が「さてさてどうしましょう?」と相談した相手が当時寺子屋の師匠だった呉用(天機星)。結局「それは汚い賄賂だから奪ってしまえ」と、この話に乗る事になります。
途中は省きますが、この『生辰鋼強奪メンバー』は晁蓋・呉用(天機星)・公孫勝(天間星)・阮小ニ(天剣星)・阮小五(天罪星)・阮小七(天敗星)・劉唐(天異星)と言う草々たる面子。
対する輸送団の護衛は、運の悪さで有名な青面獣・楊志(天暗星)。
呉用の策が成って、まんまと『生辰鋼』は強奪できた訳ですが、結局は強奪メンバー7人揃ってお尋ね者に。
当時まだ小役人だった宋江(天魁星)にも助けられて、7人はそのまま梁山泊に入山。
既に入山していた林冲(天雄星)と謀って、当時の梁山泊頭目だった狭量な王倫を殺し、大頭目の席に着いたのが晁蓋だったのです。その後の塞経営は順風満帆。懐の深い大人物がトップに居るのですから当然ですね。
しかし晁蓋は108人が揃う前、『水滸伝』の60回で死んでしまいます。
物語前半〜中盤の主人公格であった晁蓋が、108星に含まれていないのは、その為のようです。
また、晁蓋には『托塔天王』という尊号が有ったり『天王晁公神主』と位牌に書かれたりした事から、108星ではなくそれより上位の『梁山泊の守護神』という扱いにされたという話も有ります。(死後に霊威を表す場面も有りますしね)

天暗星の扱いは随分違いますが、オデッサとマッシュ(天機星)、晁蓋と呉用(天機星にして、元・寺子屋の師匠)の繋がりもちょっと似てるのかな。……いや、これはさすがに、無理矢理なこじつけっぽいか(笑)
でももし、オデッサのモデルが晁蓋だったのなら、オデッサの扱いをもう少し良くしてくれてもいいんじゃないかなと思ったりします。

第4回
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