◆盗まれた家宝◆

レパントを仲間にする際に、あのからくり屋敷から家宝の『銘刀キリンジ』を盗みましたね。
どうしても仲間に引き入れたい場合は、盗みも致し方無い、これも戦に勝つための策。
……と言う理由がまかり通ってしまうのは、幻想水滸伝より水滸伝の方が上手です。

原作の水滸伝で、盗みの被害に遭ったのは、金槍手・徐寧(天祐星)。
呼延灼(天威星)が怒涛の勢いで連環馬を用いて梁山泊を攻めている時、あの連環馬を打ち破る策を献上したのは金銭豹子・湯隆(地孤星/メースの宿星。ここは秘密工場のモースで有って欲しかった)。
聞けば、あの連環馬を打ち破る釣鎌鎗(と言う武器)を造る設計図は、湯隆家に代々伝わっている。造る事は可能。
ただ問題は、その難しい武器を操る事が出来る人間が、今は官軍の武芸師範を勤める徐寧しかいないって事。その徐寧は湯隆の従兄弟に当たるが、官軍で武芸師範を勤める身で、山賊軍団の梁山泊軍には簡単に手を貸してくれないだろう。
そこで智多星・呉用(天機星)のうった策が、盗みのプロの時遷(地賊星)に徐寧の家宝の鎧を盗み出させ、その後何食わぬ顔で湯隆が『盗人を見た』と嘘を吐いて徐寧を梁山泊に連れてくるというもの。しかも途中で痺れ薬まで使っている。
仕上げに徐寧の名を騙って悪事を働き、徐寧が官軍に戻れないような手はずまでする念の入れ様。

こういうブラックな話しが『水滸伝』には多く有ります。
子供に悪影響を与えないようにと、上手くアレンジしたのが幻想水滸伝かな、と思います。
皆さんはレパントに、家宝の『銘刀キリンジ』を素直に返してあげたでしょう?

第11回
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