◆偽の命令書◆

ソニエール監獄に捕らわれたリュウカンを助ける為に、キンバリー(地巧星)とテスラ(地文星)を仲間にして、『ニセの命令書』を作りまんまとソニエール監獄の正面を突破しました。
これと同じようなエピソードが『水滸伝』にも有ります。もっとも、呉用(天機星)のお茶目なミスのせいで、結局失敗したんですけどね。

問題を起こして掴まった上、死刑囚にまでされたのは、またまた宋江(天魁星)。
『死刑を執行する場所は、問題を起こした江州か、それとも東京に送り届けてそちらで処刑しますか?』
こういう内容の書状を、蔡九江州知事から蔡九の父である蔡京(四姦の一人)へ届ける任務を務めていたのは、まだ官軍のパシリだった神行太保・戴宗(天速星)。
宋江と戴宗はそれまで罪人と牢番と言う間柄ながら、既に親しくなっていたので、戴宗は何とか宋江を助けたいと望んでいます。
そんな時、戴宗は途中で梁山泊軍に掴まり、あっさり降伏。元々宋江を助ける気満々だった戴宗はそのまま梁山泊の晁蓋や呉用に窮状を訴えました。
戴宗から『宋江ピンチ!』の話を聞いた梁山泊の正軍師・呉用は、『偽手紙を使って処刑を中止させ、東京に護送させる隙を突いて、宋江を助ける』という策を立て、偽印作りが得意な金大堅(地巧星)と書の達人の蕭譲(地文星)を仲間に入れ、早々に蔡京から蔡九への偽手紙を作り上げさせました。
筆跡も印鑑も完璧なまでの作りで、一見ここまで順風満帆。
『蔡京の所に使いして、この手紙を貰ってきました』と、戴宗がバレずに蔡九江州知事に偽手紙を渡して騙し通せば、宋江は助けられる筈だったのです。そう、……助けられるハズ、だった。
足の速い神行太保・戴宗が梁山泊を後にして、江州に走り始めてから、呉用は己の失敗に気付いたのです。
『実の父親(蔡京)が息子(蔡九)に宛てた手紙で、公用印を使うはずが無い!』
金大堅と蕭譲が苦労して作り上げた偽手紙は、公用文書でした。

このままでは、宋江ばかりか戴宗まで危ないと見た梁山泊軍は、慌てて江州に赴き、やっぱり『偽手紙』とバレて処刑寸前になっていた宋江と戴宗を助け出しました。そしてついに宋江は梁山泊に入山し、晁蓋に次ぐ副頭領になりました。めでたしめでたし。

第14回
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