僕は新たに数珠を出し、彼のアレをきつく巻いて栓をし、締め付けを調整するため、両端を首の手綱と繋ぎました。
 そしてふと思い立ち、ついでに彼の膝関節や足首も別の数珠で拘束して、僕の上で大股を開く格好で固定しました。
 最後はなんだか、数珠で彼の体全体がぐるぐる巻きになってしまいましたが…
「ああ…あっ……んぁッ、や、やッ」
 浅いところを掘りながら、僕はダルマさん状態な彼に具合を訊ねます。
「気持ちいい…?」
 すると彼は、股間の膨張と数珠の締め付けに顔をぐしゃぐしゃに汚しながら、
「はッ、ああ…っ!すげぇ…っ!!あ、い、痛…」
「痛いの?……痛いのは嫌?」
 僕は手綱を引き、腰をまわすように突き入れました。 彼はあぶくを吹き、解放すると息をぜいぜい吐きだしました。
「はぁっ、はぁ、はぁ……ん、す・好き…痛いの……好き…あ…やだ……あ、ああああ!!!はぁぁっ!!」
 彼は突然狂ったように乱れました。
 一瞬の間に、数珠を巻いた僕のペニスを、彼の奥に深々と刺し、ガシガシ擦ってやったからです。
 こういう玩具、実際にありますからね。
 彼にとってはさして新鮮ではなかったかもしれませんが……効果は劇的でした。
「どう……っですか…?」
 狭い内部でゴロゴロ数珠を転がしながらは、僕にとっても辛いものがありました。
 しかし彼は果敢にも、それをグイグイ奥へ誘いました。
…もしかしたら、中でひっかかっちゃっただけかもしれませんけど。
「ヒッ…う、うぁっ、ク…ッあ、ああっ・あっっ……イきたい、イきたいよ…っ」
 彼は嗚咽し、涙を流していました。
「いい…?」
「っハぁ…いい……はぁ、はぁ、もうイく…!」
 彼は叫びますが、叫んだところで拘束は外しません。
「いいの?…どこが?……」
「ああっ!はっ、はっ、あっ」
「どんなふうに?」
「んああっ……!ち……畜生」
 快感の底から、彼が僕を殺気立った眼で睨みました。 しかしすぐにもたなくなって、泣き顔に戻ります。
 可愛い……。
「ふふ、いいですよ。いかせてあげます」
 彼はもう理性もかなぐり捨て、ヒィヒィ泣くだけでした。 僕の声が聞こえているかどうか、でしたが、
「あと二回……僕がイッた後にね」
取り憑かれたように首をがくがく振り出す彼の中に放ってから、宣言の一発目に取りかかったのでした……。

…果たしてその後、彼はイけたんでしょうか?……おぼえていません。
 僕は自分のことで精一杯でしたからねぇ。
 気がつくと、時刻は翌々日の昼でした。
 彼の方は拘束の跡が全身に及んでいて、まるで赤い、虎かシマウマのようになってすやすや眠っていました。
 新聞を開いてみると、彼の主人の教団が解散し、教祖が海外逃亡したという記事がありました。
…彼は、捨てられちゃったんですね。……
 生き別れになった家族の消息は不明。住んでいた所も不明。確かなのは御陵ヒズルという名前だけ。(調べてみると、彼の本名ではないようでした) 野良猫や野良犬なら僕も放っておきますが、しかし僕にとっての彼は、失いたくない大切な人でした。 この先何があっても、ふりかかるモノは甘んじて受けようと僕は、
「僕のものに、なってくれますよね」
 気持ちを込めて、意識を取り戻した彼に言いました。

すると彼は、一瞬顔をひきつらせましたが、新聞を見て、僕を見返し、微笑んでくれました。

…それから、御陵君との共同生活が始まって…一年が過ぎました。 アシスタントとしてはさておき、恋人として、御陵君は僕にとって今では無くてはならない存在になっています。
 まあ、ちょっと精神的束縛がキツいかなぁというのが難ですがね…一回でも携帯を無視すると、三日は口をきいてくれません。 そして大抵…許してくれるのは、セックスの後。 最近では、多忙な僕にかまって欲しいがためにコトをけしかけてくるような気がしないでも、無いんですが…彼は放置プレイは好みではないようで。

 そんなこんなである日、僕は三日振りに、事務所に戻りました。
 さる人に憑いた淫魔のヨダカヘビを捕獲するために、奈良まで出張し、その足で仕事を済ませた所で……ヘトヘトでしたが、御陵君に会えることを思えば平気でした。
 両手には、奈良漬と御陵君の大好物のカップそば。そして、ポケットにはスペシャルなお土産もあります。
 御陵君、喜んでくれるかなあ。
 いや、先に電話を途中で切っちゃったことを謝りましょうか?
…それなら、顔を見るなり犯しちゃった方がいいですねぇ。
 立ったまま犯ったこと、まだなかったですからね…。
 事務所のドアの前でどさり、と荷物を落とすと、僕は扉を開け放ちました。
「御陵くーん。ただいま〜」