肩を弱々しく掴む、ユーリの指が、熱い。
 マキュージオはユーリの腰を両側からたぐり寄せた。勃起したユーリの杭が腹に突く前に根元を強く掴む。
『はぁうっ!…』
 ユーリが鋭い叫びをあげた。無理もない。
 今は、そっと撫でただけでも吐精してしまうだろう。それほど、彼の自身は張りつめていた。それを、マキュージオは戒めた。
『うく…っ、ぅ……ひ……っ』
『もう限界か。だらしのない』
 鼻先まで顔を近づけて、凄んでやる。と、必死で堪えながら見返してきた。
 金髪である以外は、あの方とは似ても似つかない。
 田舎道にごまんといる子供となんら変わらないが、こうしてマキュージオに仕込まれて、艶を帯びるようになった。
『気を緩めるな。しっかり振れ』
 マキュージオは片方の手で、ユーリの根元をきつく握ったまま、空いた手でユーリの尻を叩いた。そして促すように、少し揺すってやる。 しゃくり上げながら、ユーリは腰を前後に動かし始めた。マキュージオの腋の下から背を抱く手指に、ぎゅっと力が入る。それが、マキュージオの背の傷を擦った。深く皮膚を抉る裂傷が、数十カ所もその背を覆っていた。鞭打ちの傷であった。

 マキュージオは、自分の業星を自分で呪い、粛正のため、たびたび礼拝堂で自分を鞭打つのだった。ヌールの司教は、鞭打ちながら聖オリビエの教典を読めとマキュージオに指導した。そうすれば、現世の業は晴れると、言われた。
 しかし、どんなに血を流そうと、自分の業は決して消えぬと、マキュージオはどこかで諦念していた。そんな時ほど、ユーリを激しく抱いた。
 傷に触れられ、マキュージオが一瞬顔をしかめると、ユーリはすぐに察して、
『…っあ、す、すみません…旦那、様……っ』
 うつろな眼をしながらも、手をどけた。そして、横になっている干し草の束を掴む。体の下には、シーツのかわりにマキュージオの毛皮のマントが敷かれていたのだが、ユーリは決してそれに触れようとしない。
 その様子を見て、マキュージオはユーリの杭から手を離した。そして、ユーリの体を抱き締めた。
『んあああっ!は…、駄目…、いけません。あ…あ…っっ』
 急に密着したせいで、ユーリの杭は突然の刺激に襲われる。体の奥も深く貫かれ、もはや自力で己を抑えることは不可能であった。構わずに、マキュージオは腰をうねらせながら、
『構わぬ。出せ』
 肩にユーリの顎をかけるように、ユーリの腰を膝に乗せ上げる。と、同時にユーリは腰を痙攣させ、長い射精を放った。
『はぁ………』
 射精の間は声はなく、掠れた吐息だけが繰り出された。それがようやく途絶えた頃、
『旦那…様……』
 マキュージオの耳元で、ユーリが甘く鳴く。その後を待たず、マキュージオは己の吐精のために、ユーリの腰の肉を揉みしだきながら、突き上げ始めた。振動で、ユーリの放ったものがマキュージオの腿を伝って下に落ちる。
 その匂いが、さらにマキュージオを駆り立てた。
 ユーリは失神したらしい。見れば、陶酔した眼を泳がせて、自制をなくしていた。それでもマキュージオの言いつけは守って、内部を締め付けてくる。だらしなく空いた口は、魚のように緩い呼吸をしながら、唾液の筋を飛ばしている。

『─────セロドア様…!』
 誰にも聞かれぬ声で、マキュージオは呻いた。
 ユーリの金色の髪を掴み、精を放つ。
 それは、先程のユーリが放ったものよりもずっと大量で、ずっと長い間、流れ続けた。
歴史