俺はほとんど丸裸で放置されたまま、呆然としていた。
「あなたの腹に入ったのは、ヨダカヘビといいます。人に寄生して色情に狂わせ自我を破壊したのち、体内を喰らう。妖怪です」
 よ、妖怪?!んなアホな。 しかし彼は真面目だった。
「いったん潜ったヨダカヘビを取り出す方法はただひとつ」
 そして、ポケットに入れていた右手を取り出した。
…ぅおわ!!?
「なん…だよ、それ」
「ヨダカヘビの、雄です。この為に奈良の山奥まで行ってきました」
それは、俺の中に入ったやつの2倍はありそうな、黒光りする甲殻に包まれた、手足の長いエビのような物体だった。
 というか、こんな巨大なモノが入る彼のポケット……四次元? 俺はめまいがした。
「長いこと、御神体として扱われていたので昏睡してますが、いずれは雌の匂いで…あ、起きた」
 数珠を巻いた手につかまれた物体が、にわかに節足を動かしはじめた。 やはりのっぺらぼうの頭が、ヒクヒクッと辺りの様子を窺うような素振りをして、俺の方を向いたとたんに、
「ピキィ〜」
 と鳴いてのっぺらぼうの皮がめくれ(また!)、中から、どー見ても男のアレの亀頭にしか見えない肉塊がにゅるりと顔を出した。
「!!!!」
 絶叫しかけた俺の口を、彼が手で塞ぐ。
「んーっ!んーんー!!」
 暴れて逃げ出そうとする俺。なぜならそのエビ野郎の甲殻がみるみる剥きあがり、体全体が性器になってしまったからだ。太さは大人の腕くらい。長さは…50センチはありそうだ。…黒人のアレみたいだった。
そいつが、黄色っぽい粘液を滴らせて、彼の手の中で蠢いている。 俺は白目を剥いた。
「気を失っちゃいけません。いいですか、今からこの雄であなたの中の雌をおびき出します。あなたが寝てしまったら、あなたの体はこの二匹の巣にされる。そうなったらもうおしまいです。だから気を失わないでしっかり、僕のいうことを聞いて下さい、キフネさん」
 彼の真剣な声に、俺はなんとか気を持ち直した。 口から彼の手が離れる。
「…どう、するんだよ」
 いつの間にか、彼の顔が間近にあった。
「ただ僕に、体を預けて。僕を信じてください」
 言葉は真摯だが、胡散臭い寝ぼけた目はどうも俺に不審を抱かせる。 しかも手には、見るのもイヤな極太のペニス…の妖怪だ。 説得力ゼロ。ていうかうわ、なんか震え始めたし!
「あのさ。ね、それ、どうするの?」
 俺の声は震えていた。 彼は便座に腰掛けた俺の両足を大きく開かせ、
「もちっと足、開けます?」
「黒木さん?」
 俺の腰を押しやり、便座の縁に片足を乗せると、手に持った巨根を俺のすぼまりにあてがった。
「ヒ、あっ…ちょ、待ってよ!!痛いのはやだって!」
 俺は叫び、体を丸めて退いた。彼は俺の下腹をさすり、凄い形相で、
「観念しなさい。助かりたくないんですか」
 なんつう、冷たい目だよ。 こいつ、絶対サドだ。…にしても、ヨダカヘビとかいう、まさに雄そのものは、あまりに太く長く、俺のすぼまりには絶対入りそうにない。絶対に。 しかし、助かりたくないのかと言われては、逃げることも躊躇う。
 ネトッとした、冷たくて硬い肉が俺のすぼまりに触れた。 俺はのけぞった。 見たくなくて、目を宙に泳がせる。
 あてがわれた亀頭が細かく震え、俺のすぼまりの襞をその粘液で濡らす。
「あっ…や……ヒ、ぅっ…あっ、あっ、や、やめて…」
 彼が俺のアレを、粘液をつけた手で握って触りはじめた。 むず痒い快感で、俺の意識が分散してしまう。
 ズム、と肉壁をひろげられ、激痛で俺の体が跳ね上がった時には、黒い雄が俺の中に頭を突っ込んでいた。
「アッ…いてぇ!!痛いよ!ちょっとやだ、そんな、入らないってば…や、やだ!あ、あーーっ」
「男の子でしょうが。泣かないの」
 だったらてめえ、やってみろ!! 俺は血走った目で彼を睨んだ。
 その間も、雄は俺の内部へズブズブと進み、入り口の襞がその度に裂かれるように痛んだ。 悲鳴を抑えられない俺を、彼が抱きしめてくる。
「力一杯掴んで。息を大きく吐いて」
 言われて俺は、彼の胸に顔を埋めるかたちでその背中の服の布地を両手で握りしめる。 彼の左手は俺の頭を押さえ、指先で髪を撫でられた。
「っ…はぁ…っっ」
 息を抜く。 とてつもなく重たい異物感。
「よく頑張りましたね。全部中に入りましたよ」
 彼が右手をあげる。尻尾の先がしっかり握られていた。 しかし、俺にそれを喜ぶ余裕はない。
 硬い肉塊に穴をひろげられたまま、微動さえできない。
 くて、苦しくて、ただ息を吐いた。
 はぁ。はぁ、う・はあ、はあ。
 俺と彼はそんな感じでしばらく抱き合っていた。 すると俺の腹がまた、グルグル鳴りだした。そして…