「あ…ぁうっっ!」
俺は彼を突き飛ばす勢いで体を反らした。 ひろげられた部分がむちゃくちゃ熱い。
俺の中いっぱいに張りつめた雄が、俺の腹で暴れ始めたのだ。その動きときたら、いつもの振動とは比較にならない。
中を捻られ、塊がグラインドしながら壁を擦る。
何度も突き刺すように、ズコ!ズコ!と動くそれに、俺は声が裏返りまくって、また意識が遠くなった。
「キフネさん。駄目ですよ。起きて下さい」
横に崩れ落ちる俺を片手で抱き止め、タンクにもたれさせて頬を叩く。
いたた。この野郎…
「あっっん…」
腰から激しいうねりが爆発した。どくん、と下半身がわななく。
「雌を捕らえた!」
彼が数珠を引いた。と。その時。 ガヤガヤというざわめきが、空間に進入してきた。
「!!!」
俺と彼は驚愕に凍り付いた。
恐れていたことが、よりによってこんな時に。
ここは女子トイレだ。
その個室に、大の男が二人。しかも俺のケツには未知の生物が突っ込まれている。アレも勃ちあがったままだし、もう、弁解する欠片もない事態。
そして俺は、ひくつく尻の内部がまたもや、暴れ出す。唇を噛みしめ、堪えるしかない。
この女達がいる間だけでいい。耐えなければ…!
隣の個室の扉が開き、俺たちは固唾を飲んで待った。
ところが女達は用はさっと済ませたもの、鏡の前で世間話を始めてしまった。…お前等!!
俺の膝はがくがく震えだした。
ズン!ズン!!
太くて長いのに容赦なく責められた。
俺が声を漏らさないように唇を噛みしめた上から、彼の手が押さえつけられる。
しかし、もう駄目だった。
「ぁ…、っ…」
唇がふと、緩む。
と。彼の顔が迫ってきたかと思ったら、口を塞ぐ手が離れ、かわりに唇が被さってきた。
「っ…んうっ!ん」
そして、俺が声を漏らすのを誤魔化すように、背後のタンクのハンドルをひねり、水を流す。
ジャーッ!という轟音に紛れ、俺の叫びを口移しで飲み込むようにキスされた。
舌の根元を抜かれるかと思うくらいに吸われ、唾液を大量に飲まされ、俺は何だか混乱しながら、声を抑えられた。
何だ、このキス。
気持ちいいのか、動悸が早くなる。 尻は相変わらず尋常じゃない痙攣に見舞われていたが、気づけば俺は、彼のディープキスに我を忘れてのめりこんでいた。 水は何度も流れ、その間に、さっきの女達は去った。
ピチャ。
「…んっ」
ゴクッ。「はぁ」
俺は唇を離し、息を吐く。するとまたそれを貪られた。 唇を柔らかく噛み、そっと吸いあげたかと思うといきなり奥に舌を絡ませる。ピチャ、とまたエロい音がした。
ヤバい。こいつ、巧すぎだ…
俺は自分の舌を差し出そうとした。 しかし、それは一瞬で中断する。
彼の携帯が鳴ったからだ。
俺のアレは、またしても最大限に努張し、はち切れそうな先端が先走りで濡れ光っていた。
それは尻の中のヨダカヘビによるものなのか、彼のエロ過ぎるキスのせいなのか、はたまた乳首を開発されたせいか…いや、全部だな。どっちにしても俺の人生最大の屈辱には変わりはない。
ケツはグジグジとした激痛が相変わらず続いていたが、それは入り口に限った話で、内部を擦られるのは次第に快感になってきていた。
硬い肉の棒が、信じられない深部に届く瞬間、俺はたまらなくなって鼻から切なげな息を吐いてしまう。
彼の右手に握られたヨダカヘビの雄。
黒光りする尻尾がビチビチと跳ね、無数の節足がカサカサと蠢いている。
なんともおぞましかったが、その動きのひとつひとつが、俺をよがらせているのだった…
で、そんな俺のとんでもなく緊迫した状態を余所に、彼の携帯は鳴ったわけだ。この上ないくらい、間の抜けた着メロを高らかに鳴らして。
彼が携帯を取り上げるのを、俺はかすむ目で見た。 …この状況で電話を取るってどうよ。いや、こいつならあり得るか。取るよな。取る奴だよこいつは。 そう思ったら、なんだか寂しくなった…て、オイ俺!!
ところが彼は、鳴り続ける携帯をそのまま電源オフにした。トルコ行進曲がブツ切られ、
「…切るの忘れてました」
あ…。