『!!!────────』
 セロドアはそれを顔面で受け、灼熱の衝撃に視界がつぶれた。
 鼻先に、どろりとした液が流れる感触と悪臭が漂った。セロドアは大声で呻き、気が狂わんばかりにもがいたが、何十にも巻きついた管は、わずかな力さえ封じ込めてしまう。
『……フェル…マー…』
 震える声で、セロドアはフェルマールを探した。目は開いていたが、視界は薄闇に包まれていた。
 がさがさと体をまさぐられる。妖物が、その首をもたげてセロドアの服の中へ侵入をはじめた。
『ひぃ…っ』
 腋の下、腹、そして腿のあたりがもぞもぞと蠢く。肌を這いずり回る妖物の体は鉛のように重く、まるで生きている鎖のようだった。
『ディアベリ!──────ディアベリ!!』
 セロドアは叫んだが、遮られた視界に、反応はなかった。
『…おのれ、フェルマール…!』
 セロドアは呪いを口にしながら、腰にさげた剣に手を伸ばそうとした。しかしその手は剣からあまりにも遠いところにねじ上げられている。───ガシャリ。
 下のほうで重い金属音が響いた瞬間、セロドアは絶望した。
(剣が…!)
 そして、ビリビリと胸元から下肢の衣装が引き裂かれた。
 生身の肌に、妖物の管がぺたりと触れ、腿の付け根に巻きついた。
『やめろっ……!…触れるな───あ、あああああっ』
 いやらしい管がセロドアの中心に触れ、熱の露を垂れ流す。数本がかりがそこを嬲るように縛り、引き裂くように抓りあげた。セロドアは叫び、のたうつ。管はセロドアの体のあちこちを徘徊しながら、露を塗りつけていく。抵抗すれば、容赦なく関節を締められた。締められながら、セロドアは中心に絶え間なく与えられる責め苦に呻いた。
『ふぁ…っ』
 ズボ、とくぐもった音を立て、突然、口の中に管が入ってきた。
『んっ!…ぐ…、ウ、───うっ、ん、ぐっ!』
 顎が外れるかと思うほど、口腔が拡げられる。悪臭の、腐った水のような味の露が口内に溢れ返る。
 セロドアは抵抗できずに嚥下した。喉の動きに反応した管が、口の中を抜き差しはじめる。
『ンン─────────!!!』
 セロドアは目を剥き、舌を強く擦られて仰け反った。歯を立てたが、硬い表皮には痛感など存在しないのか、動き はますます激しくなった。
 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、と水音が弾け、セロドアは口の端から涎を吹いた。
 首のあたりがじわりと痺れる。思考がだんだん薄れていった。
(……あああああっ)
 塞がれた口の中で、叫び声を上げる。
(そこは…っ)
 中心をいたぶっていた管が、足の間に滑り込んできて、セロドアは腰をひいた。管が、奥の傷口へ這っていく。
 そこは、かつて傷付けられ、今もじくじくとした痛みを静かに湛えている場所だった。
(いやだ、やめて…やめてくれ…っ)
 セロドアは無駄な抵抗を繰り返しながら、涙を浮かべて首を振った。それを戒めるように、口の汚辱が喉の奥深くを突き刺す。セロドアは半身を強張らせ、一瞬気を失った。
『ふぁ───んっ、んん!!!う、うっうぅーっ』
 汚されながら、両足が持ち上げられ、腿が限界まで開かれた。
 観念するしか、なかった。
 管を口に頬張りながら、セロドアは菊座に管を受け入れた。激痛が脳天にまで達し、また気を失う。
 しかしまた、さらに強い衝撃が襲った。
(ああああああああああああああああーーー!!!!)
 いきなり新たなもう一本の管が、既に入り込んだ管に続いて挿入されたのだった。
 セロドアは発狂した。
 薄い粘膜の皮膚が、限界を超えて拡がり、あちこちの血管が裂け、血潮が吹き荒れている。
 いっそ、ずっと気を失っていたかったが、激痛は鞭打ちのように退いては繰り返され、セロドアの意識をいつまでも留めているのだった。妖物の管は、狭い入り口でひしめき合い、密着した状態で、なおも奥へ進もうと蠢く。その衝撃は、やがてセロドアの下半身からすべての感覚を奪っていった。麻痺が覆い尽くし、震えが止まらなくなった。
 ぽたり、ぽたりと尻の間を血が流れ、地面に落ちていく。
 麻痺は上半身に及んできた。
 セロドアは虚ろな意識でただ口と後肛の汚辱を受け入れている。
 すると、いままで体を束縛していた管に新たな動きが起こった。
 力の抜けたセロドアの膝と腿、腰骨に巻きついた管が連動し、セロドアの腰を外部から揺すりはじめたのだ。
最後の王